A-32, 33, 34 ケンカ, オンボロ愛車購入, 疲れたスズキ氏とオレ

ケンカ
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1985年6月H日

ケンカ

ケンカ

 昨日、ロッジのキッチンでケンカがあった。片方は明らかに脳に障害があると思われる30才くらいの男。もう一人は隣りの部屋のこれまた素行ノーグッドなロスという男だ。

 些細なことからいざこざがこじれて、とうとうなるようになってしまった。二人ともふだんからみんなから煙たがられていたため、誰も口を出さず、放っておいたら案の定のこと。

 結局、脳に障害のあると見られる男がやられた格好になったが、管理人さんの話によると、やつはどうやら政府の保護施設のようなところへ行くことになるだろうということ。どこの国にもよく似た人たちはいるものだ。

1985年6月I日

オンボロ愛車購入

車 フォード エスコート

 車を買った。1970年型のフォード・エスコート、白のパネルバンだ。ここの国には日本のような車検制度がないため(2年に1回、十数万円かけて車の総点検をするなんて、日本以外ではほとんど例がないらしい)、こいつは日本ではちょっと見ることができないオンボロ具合である。

 この州の地元の新聞、The West AustralianのFor Saleの欄で発見。むかし車の整備士をしていたことがあるノリさんに付き合ってもらって、700ドル(約8万円)で買ったが、この1週間、こいつにはまあよくもこれだけ悩ませてくれるもんだと感心させられっぱなしである。

 買ったその日は売ってくれた人の家から我が家へ戻る途中でガス欠。2日目はバッテリーの放電。3日目はオーバーヒート。4日目はワイパーの破損。連日連夜、RAC(当地で日本のJAFに相当する組織)にお世話になりっぱなしである。RACの電話の交換手のおネエさんもオレの名前と車種を覚えてくれたほどだった。

 そして装備も超一流のボロさである。ドアの鍵が壊れている(外観を見ても、誰もこの車に何かめぼしいものなどあると思うはずがなく、別に気にもならないが)。左の方向指示機が点灯しない。ドアミラーが左右ともにひびが入って見えない。エンジンルームのガソリンの臭いがモロに室内に入ってくる。ボロボロのシート。

 きわめつけはダッシュボード。それは強化プラスチックならぬ、なんとベニヤ板を張り付けただけでできている。2代前のオーナーがマメな人で、その人の苦心の傑作らしいが、よくもまあここまでやってくれたものだ。

 まあエンジンは快調であるし、燃料もリッター当たり8キロと絶望的には悪くはない。とりあえず700ドルの車に文句は言うまい。

1985年6月J日

疲れたスズキ氏とオレ

疲れた人

 スズキ氏はホントに疲れている。言葉のはしばしにそれがうかがえる。オレがあの店で仕事を初めて約2ヶ月。まだあの人は休みを一回も取っていない。やはり疲れは人間の自己チェック機能をマヒさせていくもののようだ。
 しかし、かくいうオレも疲れている。毎日毎日、仕事以外の時間はベッドでただただ泥のように眠るだけだ。

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